他者と理解 (耳ピアス編)
東大学部一年の時に、同学年だった誰か(日本人、女子だった気がする)が私の耳ピアスを見て、高校の時ヤンキーだったのか、と聞いてきたことがある。純度100%の冗談だったのか、それとも本当に本気で気になって聞いているのか、当時の私には分からなかった。本気の質問だった可能性もなくもないな、と思ったのは、私のいる前で留学生は東大に楽に入ってくるとか平然という学生も珍しくなかったから。そしてそもそも「ピアス=ヤンキー」という図式が私の頭にはなかった。それでもその質問を不快に思ったのは、私の頭の中にも「ヤンキー=学生時代勉強もせず遊んでばかりいる不良」という図式はあったからなんだろう。
18歳まで韓国で、韓国の学校に通って、高校受験して(韓国で中学受験は珍しい、普通勉強できる子供は高校受験)、とにかくそれまでずっと私はいつも「真面目な」「成績優秀な子」だったという、東大にくる日本人誰もが持っていそうな、しょうもないちっぽけなプライドを私も持っていたから、ヤンキーだったの?という質問が不快だったという話(ヤンキーでなにがわるい)。しかもピアスなんて、確かに韓国でも小中高在学中に学校でつけていると、その「真面目な」「成績優秀な子」のイメージからは遠ざかるという感覚はあったから、私はそのしょうもないちっぽけなプライドとセルフ・イメージを守るために、ちゃんと高校卒業を待って耳をあけたのであった。10代の時からヤンキーとの差別化を図ってきたつもりなのに、しかもそれまではちゃんと私の意図通り「真面目な」「成績優秀な子」として認知してもらえたのに、それが通じなくなったことのショック。
耳ピアスって、耳に穴をあけること。女性が体に穴をあけること自体、人によって受け止め方の程度は違えど、傾向としてその開けた数ほど日本では「品がない」というイメージに近づくんだなという閃きはすぐに訪れた。この受け止め方は韓国でも全く同じだが、成人の若い女性の耳ピアスに関しては日本ほどじゃない気がする(私が思うその理由は後述)。とにかく日本のデパートのアクセサリーコーナーに行くとピアスよりイヤリング(穴あけなくても耳につけられるタイプ)の方が多く陳列されていたことや、周りの東大女子の中にはもう成人になって十分時間が経ったはずなのに耳を一箇所もあけていないという例が珍しくなかったことから、私も感じるところがあった(私大のお嬢様学校とか行けばもっと酷かったのかな)。
耳をあけない子たちはよく「開けるの痛そうで怖い」と理由を説明していたが、別にそれは嘘でもなかったと思う。耳を片耳に一箇所ずつどころか何箇所もあけている私でさえ(あのピアス発言事件当時は私も一箇所ずつしか開けていなかったものの)、耳を開けるのは正直痛そうで怖かったし、それをしかも何回かやっていても怖いのは変わらなかった。それでも私が耳を開けられたのは、少なくともそれが韓国のピアグループ女子(※ヤンキーではない)の間で日本以上に広範に流行っていて可愛いと思ったのと、決定的に韓国ではそこらじゅうのアクセサリーショップでピアス買えばその場で耳をあけてもらえるからアクセス面でハードルが低かった(からこそほとんどみんな開けていた)のもあったと思う。
だから、私にとって耳をあけることって、友達と街を歩いていて、可愛いアクセサリーショップを見つけて気まぐれで入って(この類の誘惑は繁華街に行けばあまりにも多い)、気づいたら雰囲気に乗って開けているというような、それくらいのことだった。私の場合、性格的に完全な気まぐれというより、普段から多少は考えてはいることが多かったが、その場に行けばとにかく、他に開けている人を見たり、友達が隣で開けていたりするの見るとなお勇気が出た。すごく悩んで、わざわざそれをやってくれる病院を探して行って開けてもらうか、思い切ってセルフキット買って自分で開けるというほどの大事になる文脈では、確かに、耳を何箇所も開けている人のやる気というのは、凡人とは違う何かをシグナルするものがあったと言っても理解はできる。
そうやって学部時代の私は、東大では意図せずロックな、当時の私のコスメと服集め趣味とも相まって美意識高い子という評判を謳歌した気がしなくもない。その一部は、私が思うには単純に、韓国では普通のことが日本(東大バブル)では普通じゃなかったことからくるギャップ効果だったと思うが。肌の調子がどう見ても明らかに良くはない時でさえ、口癖のように肌が綺麗とか美意識高いとか言われると、まず第一に私が今お世辞ででもそう言われるほどなのか?という疑念と(私の目には大体そう言ってくれる女子の肌の方がよっぽど綺麗に見えた)、単純に私が韓国人だから(そして実際やっぱり韓国の人は、みたいな修飾語が付いてくることも多かったから)そう言っているのではないかという確信めいた疑念も頭をよぎった。
他者と理解の話をしたくて、耳ピアスの話はオプナーとして使うつもりだったのに、また本論に辿り着く前に書き疲れちゃった。
↓最近久しぶりに買ったドロップ型ピアスの自慢(気に入ってる。実際見た方が写真より可愛い)。もうメイクは卒業式、入学式、結婚式レベルの行事がないと全くしなくなった30代。眉毛薄い方だから眉毛だけ半永久タトゥー入れてメイクからは完全解放された。あ、例外で旅行行く時は写真撮りたいから頑張る方。これも最近写真アプリ発展しすぎて自分でメイクするよりアプリかけた方が可愛い気がしてきた。腕時計とかもそうだけど基本肌に何かつけている感覚が嫌いだから、私がソーシャルメディアに挙げる写真が私のデフォルトだと思われると困る(一方でそう思われたい気持ちもあるから綺麗なものだけ厳選してあげている)。このメンタリティって、、